平成15年4月から約2年間をかけ、「とどけ!未来のすべての冒険者(子ども)たちへ 井出孫六が選んだ15歳までに読んでおきたい少年少女文学100選」と題されたバリアフリー出版が実践されています。(2003年4月末時点で10タイトルが出版)
この試みは、「子ども読書の日」におくる、5媒体完全バリアフリー出版!!と副題が付けられ、直木賞作家の井出孫六さんが選定した100冊の本について点字(普通サイズ・Lサイズ)、録音(カセットテープ・DAISY)、大活字版の3種類5媒体を製作することで、誰にでも読むことができる「完全なバリアフリー出版」を目指しているそうです。
このバリアフリー出版は「情報障害者」と言われる視覚障害を持つ子どもの笑顔の応援団となりたいと考えた視覚障害者向け情報提供施設が井出孫六さんのご協力を得て始められた取り組みで、今年新たに設けられた「子ども読書の日」に100選の第1弾として以下の10タイトルを完成したそうです。
1・井出孫六 八月十五日ぼくはナイフをすてた、2・樋口一葉 たけくらべ、3・森鴎外 山椒大夫、4・小泉八雲(平井呈一訳) 耳なし芳一のはなし、5・国木田独歩 忘れえぬ人々、6・野上弥生子 海神丸、7・志賀直哉 小僧の神様、8・島崎藤村 千曲川スケッチ、9・芥川龍之介 蜜柑、10・宇野浩二 春を告げる鳥
このバリアフリー出版の試みが実践された「子ども読書の日」である4月23日は、国際的にもユネスコの「世界本の日」や「サン・ジョルディの日」に当たるそうです。そして日本でも「子ども読書の日」として、2002年8月に閣議決定された「子どもの読書活動の推進に関する基本的な計画」の理念であるすべての子どもたちが機会・場所を問わず自主的に読書活動ができるよう積極的な環境整備を推進するものとして選ばれた日だということでした。
また今回のような日本各地の施設が合同してこの夢のバリアフリー出版を実現することは、視覚障害者情報提供施設の世界では初めての試みだということです。
各媒体の協力施設は、点字版が(社福)日本ライトハウス 盲人情報文化センター、(社福)桜雲会、(社福)岐阜アソシア 視覚障害者生活情報センターぎふ、(社福)名古屋ライトハウス 名古屋盲人情報文化センターの4施設です。録音版とDAISY版は、(社福)日本ライトハウス 盲人情報文化センターと(社福)名古屋ライトハウス 名古屋盲人情報文化センターの2施設が担当し、大活字版は視覚障碍者読書支援協会(BBA)が協力して実践しているそうです。
このように全国にある点字図書館やボランティアグループが一致団結して「バリアフリー出版」が推進されれば、今後それだけ沢山の本が出版できることになるため本当にすばらしいことだと思います。そして今回の4施設1団体だけでなく、全国約100ヶ所に上る点字図書館や、約30ヶ所ある点字出版所等にもこのような出版への試みが波及していってくれることを切望しています。
なお今回バリアフリー出版された点訳版や朗読テープ版等の各媒体の価格はいずれも2,500円で、原本と比べて弱冠高めに設定されているようですが、充分個人でも購入可能な範囲ですのでほぼ価格のバリアフリーも実践されていると思います。
ただ今回のバリアフリー出版の取り組みで惜しむ楽は、実践されている書籍が新刊書ではなく、いずれもかなり以前に発行されている作品群であるということです。今回の「15歳までに読んでおきたい少年少女文学100選」という企画の主旨からしてしかたのないことなのかもしれませんが、できれば今後新刊書についても上記のような形で取り組んでいっていただければと願っています。
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