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まとめに変えて 「私が本を書く目的」

 

 

 最近は出版ブームといわれ、1年間に発行される書籍は悠に7万タイトルを越えています。
また出版社には、連日のように素人の書いた自分史や家族史、子どもの成長記録等の原稿や企画書が送られてくるそうですし、一般の人を対象にした自費出版専門の出版社まで商業ベースで成り立つほどのブームです。また、全国のカルチャースクールの文章の書き方教室は、連日のように大変賑わっている様子です。
 では人はなぜ本を書きたいのでしょうか。有名になって目立ちたいからでしょうか?沢山売れて儲かりたいからでしょうか?それともただ単に自分や子ども、家族のために何か記録を残したいだけなのでしょうか。
 出版の動機は人それぞれだとは思いますが「文章で何かを表現したい」という欲求によってつき動かされ、人は書かずにはいられないのかもしれません。また音楽や芸術のように自己表現の手段として執筆を行っているのかもしれません。
 では私はなぜ本を書くのでしょうか。一冊目の著書「二人五脚」を書いた動機は、一頭目の盲導犬クリナムを何らかの形で記録に残したいという執念にも似た思いからでした。そして私は二人五脚を出版いらい、いろいろな学校やボランティア学習会等で盲導犬や視覚障害者の生活についての講話の依頼を受けるようになりました。
 そんな中、拙著も含め盲導犬との体験談や美談は沢山出版されているものの、盲導犬の社会的な現状や仕事内容、育成状況等について説明した本がないのにきずき、二冊目の著書「盲導犬ハンドブック」と3冊目の著書で絵本の「盲導犬アンドリューの一日」を書き上げました。
「盲導犬ハンドブック」は中学生以上の大人向けに、「盲導犬アンドリューの一日」は幼児から小学生ぐらいから盲導犬との生活について判るように製作しました。
 私は、拙著を通して一人でも多くの人が盲導犬についての正しい知識をもって貰えればと願って出版活動を行ってきた訳です。そして四冊目の著書「見えない目で生きるということ」は、今まで盲導犬を通して視覚障害者の生活についてご紹介してきましたが、より目の見えない人の普通の日常生活について一人でも多くの皆さんにご紹介できればと考え執筆しました。
 私が本を書く目的は、一般の方と視覚障害者との間にあるバリアを取り除き、誰でも同じ人間であり、目が見えようが見えなかろうが全く違いがないということを知ってもらいたいからです。そして目が見える人と見えない人との違いは生活の中で使用している感覚だけであり、障害者も同じように社会で生きている中馬だということを広く知っていただきたいと考えています。また人生の中途で不幸にも失明した人が、拙著を読んで勇気をよみがえらせ、目が見えなくても工夫さえすればみな普通に生きられるのだということをお知らせできればと考えています。
 このように次々に本を出版していると、私はあたかも出版社につてやコネがあり、出版社からの企画でどんどん本を書かせて貰えるのではないかと勘違いされてしまうかもしれませんが、私はあくまで一公務員にすぎず、出版を職業にしている訳ではありませんので全くそのようなことはありません。
 それどころか全く出版の宛も無いまま原稿を書き、後から自分でご協力くださる出版社を個別に探しているだけなのです。
 一冊目の二人五脚を出版した時は、最初自費出版を考え複数の出版社から見積をとったのですが、あまりにも高額で諦め、改めて五つの出版社に原稿を送って出版してただけるかをご検討いただきました。
 二冊目の「盲導犬ハンドブック」にいたっては、なかなかご協力くださる出版社がみつからず、ついに十四社目に漸くご協力くださる会社が見つかりました。実を言うと十三社目の出版社で、もう編集会議と営業会議を通過し、もう少しのところで出版にこぎ着けるところまで話が進んでいたのですが、会長の決済でボツになってしまったのでした。私はそれでも諦めず次の出版社に企画をお持ちしたところ何と漸く十四社目にして漸く出版社が決まったのです。
 三冊目の絵本はやはり五つの会社に原稿をお送りし、その中の一者から出版してもいいという前向きなご回答をいただいたのですが、その編集担当者の方が会社をおやめになってしまい、話は白紙に戻ってしまいました。しかしこの編集者の方がご自分で出版社を起こされ、「盲導犬アンドリューの一日」はその出版社の第一号の作品として産声をあげたのです。
 4冊目の「見えない目で生きるということ」についても、盲導犬ハンドブックの出版社探しで知り合った某出版社の編集の方と作り始めた本でしたが、残念ながらその出版社では企画が通らずあわや店ざらしになるところでした。しかし是非普通の目の見えない人の生活について紹介した本を出版したいという思いから、同じく盲導犬ハンドブックの企画の時にお世話になった出版社の方に企画書を持ち込み、検討を依頼したところ、何と同社で出版できる可能性がある旨のお返事をいただいたのです。その後、本として形になるようにするため様々な内容を加筆・修正したり、私では判らないことは友人にインタビューしたり、資料やホームページ等を調べ何とか本になる程度の情報を集め、約1年後漸く企画の成立となったのです。
 このように並々ならぬ苦労のすえ私はいままで本を出版してきました。
 時間的にも「二人五脚」の出版は構想から一年弱で発行することができましたが、「盲導犬ハンドブック」は約二年、「盲導犬アンドリューの1日」と「見えない目で生きるということ」も約一年半程はかかっています。
 また本を出版後は、マスコミの方に本を献本し紙面や番組等で紹介していただけるように働きかけたり、取材を受けたり、雑誌等に拙著の紹介文を投稿したり、お手紙やメール等で案内文を送付したりといろいろな仕事があります。また自分で本を購入しお世話になった方にさしあげたり、周囲の方にお願いして本を買っていただいたり、チャリティーコンサートや講話の会に本を持参し販売させていただいたり等、いろいろな雑務が待っています。
 そんな苦労をしてまでなぜ本を書きたいのか!!正直私自身にさえ判りませんが、自分の書いたものを身も知らぬ誰かが読んでくださり、何かを感じ取って貰えればと願って執筆を続けているのです。
 私が書いた雑文が、身も知らないだれかのお役に立てれば…そして視覚障害者の生活について少しでも知って貰うきっかけになってくれれば…私はそんな目的や夢を持ちながら本を書き続けています。そしてこのホームページや拙著を読み、町中で困っている視覚障害者の人を見かけたとき、躊躇わずお声を掛けていただければ幸いです。
 それが出版の世界はもちろん、すべての意味で「バリアフリー社会」が実現できる切欠になるかと思います。

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