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価格のバリアフリーについて

 

 

  今までバリアフリー出版を実践してきた書籍について、やはり一番の問題になっていたのが価格のバリアでした。
 「盲導犬アンドリューの一日」については、たまたま絵本のため本自体の分量も少なく、関係各社のご努力により一般文字版とほぼ同じ価格が実現できるはこびとなりましたが、通常の出版物の場合現実的には同価格を実践するにはかなりきびしい状況にあります。
 1例を挙げれば拙著「二人五脚」(原本:実業之日本社刊)の一般文字版の価格は1,500円(税別)に対し、点訳版(3分冊)で15,000円(非課税)、音訳版(90分、4.5巻)で個人向けが4,050円、公共図書館向けが13,500円、大活字版(三分冊)で9,000円(1巻3,000円)、マルチメディアDAISY版(CD1枚)で4,760円でした。それでも点字版については、国の価格差補償制度があり、重度の視覚障害者の方であれば、申請の手続きをすることで、原本と同じ価格で購入することができます。
 ここで簡単にこの価格差補償制度について触れておくと、正確には「点字図書給付事業」といって、点字図書と原本との価格の差額を補償するものです。対象者(身体障害者手帳1・2級)は、年間6タイトル24冊の範囲で補助を受けることができます。しかしこの制度の存在について知っている視覚障害者はまだまだ少ないのが現状です。またこの制度は、現時点では点字のみが対象で、その他の媒体では、すべて読みたいと思った読者の方の負担です。
 一般的に視覚障害者は点字を使用することが前提のように考えられがちですが、実際には全国約30万人の視覚障害者のうち、点字を使用しているのはその1割に当たる約3万人程度にすぎません。点字を使用していない9割の視覚障害者は、朗読テープや大活字、FDブック、DAISYの資料を使用していることになります。
 今後もより一層のバリアフリー出版を推進していくためには、「価格差補償制度」のPRとともに、「価格差補償の枠」を音訳版や大活字版、FDブック版、DAISY版にも広げていく必要性を改めて感じました。

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