私が書いた1冊目の本の書名は「二人五脚(ににんごきゃく) 〜盲導犬クリナムと歩んだ7年の記録〜」(実業之日本社刊)というものでした。本来人の二本の足と犬の四本の足を加えると六脚になります。しかし人間がする二人三脚のように、物理的には足は結んではいないものの、盲導犬との歩行は人の心と犬の心を一つにして安全に歩くという重要な共同作業をしている人犬一体という意味から、あえて二人六脚ではなく、「二人五脚」という書名にしました。
本書は、従来の盲導犬関係の図書とは異なり、盲導犬と生活して良かった点だけでなく、さまざまな失敗談や、飲食店や宿泊施設等、まだまだ低い盲導犬に対する社会の認識不足からおこった利用拒否の経験談、盲導犬の定義、盲導犬に関する道路交通法等の参考書的な要素も盛り込んでいます。
この本の大まかなストーリーは、クリナムという犬が産まれてから、飼育奉仕者の家庭で子供時代を過ごし、盲導犬協会で訓練を受け、私という使用者とめぐり会い、そして一緒に生活してきた様子がありのままの等身大の姿で描かれています。クリナムとともに出かけたさまざまな旅行や毎日の通勤ラッシュ、クリナムがいたからこそ決断することのできた私の眼球摘出手術、妻との出会い、そして結婚、娘の誕生、クリナムの病気の発見と病魔との戦い、そして最後に迎えたクリナムの死……。この本はかけぬけていったクリナムと私の人生の軌跡です。
前へ
| 次へ|バリアフリー今昔物語の目次へ戻る